世界No.1の、その先へ。 研究者の枠を超え、 世の中を変えていく。
PROFILE
森下 雄介
バイオメトリクス研究所
2008年入社
システム情報工学研究科修了
PROFILE
森下 雄介
バイオメトリクス研究所
2008年入社
システム情報工学研究科修了

「顔認証で世界一を狙う」。
上司の一言が、停滞した空気を打ち破った。

大学院で研究していた画像のパターン認識技術をもっと究めたい。それが、NECを志した理由です。しかし、入社後に研究所で取り組むことになったのは「顔認証」。当時、アカデミックな世界では、パターン認識による顔認証は、ある程度理論が確立された領域だと見なされ、あまり旬なテーマではありませんでした。「いまさら顔認証か」。それが正直な気持ちでした。NECは顔認証の研究を約30年前から続けていましたが、社内ではあまり注目されていませんでした。しかも、私が入社した直後にリーマン・ショックが起こり、急激に景気が悪化。そんな暗いムードを一掃したのが、開発チームのリーダーである私の上司の一言でした。「世界一を狙うぞ」。そう宣言したのは、いまや顔認証技術で世界トップクラスの技術者として名高い今岡(仁)でした。彼の指揮のもと、NIST(米国国立標準技術研究所)が主催する、世界の有力なIT企業が参加する顔認証技術の国際ベンチマークテストに、我々NECのチームも挑むことになったのです。

「世界一」の顔認証技術が、
世界40カ国でセキュリティを支えている。

入社したばかりの私もこのプロジェクトに参加。機械学習の精度向上に奮闘しました。そして2009年のベンチマークテストで見事No.1の評価を獲得。その結果が本当にうれしかったですし、自分自身の大きな転機にもなりました。No.1を獲得してからというもの、世の中でNECの顔認証技術の優秀さが知れ渡り、様々な事業に結びついていいきました。その後も2010年、2013年、2017年、2019年と5回連続で世界No.1の評価を獲得。結果に反して、研究投資が減らされるといった苦しい経験もありました。でも「世界一」であり続けることが我々のアイデンティティなのだと、大変な状況でも一丸となり踏ん張り続けてきました。上司の今岡も、我々若いメンバーに「君たちはやるべきことをやれ」と研究に専念できる環境を守り続けてくれました。あらためて感じるのは、NECの技術へのこだわりは並々ならぬものがあるということ。我々のチームが確立した顔認証技術は、いまや世界40カ国以上に導入され、警察の犯罪捜査や入出国管理など国家レベルのセキュリティに貢献しています。

研究者の新しい挑戦が、
NECを大胆に変えていく。

最近、リクルーターとして、研究職を志望する学生のみなさんによくお会いします。しかし、NECについては、明るいニュースばかりではありません。それもあって、NECの魅力を伝えきれないことも多く、とても残念な思いをしています。でも、いまNECは大きく変わろうとしている。先日も、藤巻(遼平)という若いAI研究者が社長を務める新会社をシリコンバレーに設立し、世間で話題を呼びました。彼が開発したデータ分析プロセスをAIで自動化する技術を事業化するためのベンチャーで、こんなダイナミックな動きは今までのNECにはありませんでした。また、優秀な研究者なら新卒でも年収1000万円を超える給与制度の導入や、私の上司の今岡が研究者でありながら役員待遇を受けるNECフェローに就任といったトピックスも生まれています。NECはいま、研究者のモチベーションを大いに刺激する企業になりつつあります。私もいま、これまで培ってきた顔認証技術をもとに「遠隔視線推定技術」という未知の領域への挑戦をスタートしました。

「遠隔視線推定技術」を自分の手で事業化し、
世の中をより良く変えていく。

「遠隔視線推定技術」は、離れた場所から人の視線の方向をリアルタイムで正確に検知する技術。たとえば、店舗を訪れたお客様がどんな商品を見ているのかを分析することで企業のマーケティングに活用したり、さらには視線の移動でスマートフォンなどの操作も可能になったりと、新たなUIとしても期待できる。この研究は私に一任されており、研究所の枠を超えて、ぜひ事業化するところまでリードしたい。これまでは研究者として優れた技術を生み出すことばかりを考えていましたが、それだけでは研究者としての存在意義はないと強く思っています。顔認証技術はすでに社会のいたるところで活用されています。同様に、遠隔視点推定技術も自ら積極的に社会に提案して、これからの時代に当たり前のように使われる技術にしたい。それが果たせるのも、やはり世の中に対して大きな影響力を発揮できるNECに身を置いているからこそ。私も自分の研究で、世の中をより良く変えていきたいと思っています。

2008年

「顔認証技術」の研究

入社後、研究所内の生体認証を専門に手掛ける部門に配属され、「顔認証技術」の研究開発を担当。2009年、2010年、2013年、2017年、2019年と5回連続でNIST(米国国立標準技術研究所)のベンチマークテストで世界No.1の評価を獲得。なかでも2017年のベンチマークテストでは、ディープラーニング技術を駆使して動画における顔認証できわめて高い精度を実現し、社会に応用できる可能性をさらに大きく拡げた。

2018年

「遠隔視線推定技術」の研究

主任研究員(課長職)に昇格。顔認証技術のさらなる進化をリードする一方、まだ確立されていない「遠隔視線推定技術」の研究開発と事業化に取り組んでいる。

現在

  • Q:現在のお仕事内容の概要

    A:いま私に託されているのは「遠隔視線推定技術」の研究開発。この新技術をどう社会の中で実用化していくか、事業部側とも連携しながらプロジェクトを進めているところです。

  • Q:現在のお仕事のやりがい

    A:やはりまだ世の中で前例のない技術に挑むのはエキサイティングです。この遠隔視線推定技術を、顔認証技術に次ぐNECのAI技術の柱の柱にしたいと思っています。

  • Q:現在のお仕事の成功体験

    A:自分の研究で新たな成果が出た瞬間はもちろんうれしいのですが、主任研究員となってチームを率いることになり、若い研究者たちの成長に触れた時もとても気持ちが高揚します。

  • Q:現在のお仕事の難しい点

    A:若い研究者たちにも、かつて上司の今岡が与えてくれたような「世界一」になる醍醐味を味わってほしい。どうすればそれがかなうのか、マネジメントにいま頭を悩ませています。

8:50

出社

川崎市の武蔵小杉にあるNEC玉川事業所内の研究所に出社。研究所は基本的に服装は自由で、私もポロシャツにジーンズなど、毎日ラフな格好で出社しています。

9:30

チーム内でのミーティング

出社後、対応すべきメールを処理した後、チームメンバーとミーティング。現在進めている研究の進捗を確認するとともに、課題などを洗い出して解決策を指示します。

10:00

アルゴリズムの研究

自ら手を動かして研究する時間もしっかり確保しています。いま取り組んでいる遠隔視線推定技術の研究開発において、より精度を向上させるためのアルゴリズムなどを検討。

12:00

昼食休憩

NEC玉川事業所内の食堂にてランチ。事業所内には生活に必要な機能が一通り揃っています。

13:30

事業部側の会議

遠隔視線推定技術の実用化に向けて、事業側のメンバーと会議。どんなお客様にどんなニーズがあるかなどを議論し、時にはリサーチのために自らお客様先に出向くことも。

16:00

チームメンバーとディスカッション

若い研究者から技術的な相談を受けてアドバイス。彼らの自主性を重んじ、自由な発想によるアイデアをどんどん実行して検証できるような環境づくりに努めています。

19:00

退社

今日は出社しましたが、NECの研究所はテレワークも可能。私も多い時は週に2回ほどテレワークを活用し、自宅で仕事をしています。

お酒が好きなので、子供が生まれる前は、クラフトビールのおいしいお店を探してよく妻と渡り歩いていました。いまは4歳と1歳の女の子二人を抱えていて、休日はもっぱら子供たちと公園で遊んでいます。NECの研究所は裁量労働制なので、自分で働き方をきちんと管理すれば、家族と過ごす時間は十分に取れます。