NECの歴史のなかで きっと、 今が一番おもしろい
PROFILE
梅松 旭美
中央研究所 バイオメトリクス研究所
2013年入社
大学院 物理学及応用物理学専攻卒
PROFILE
梅松 旭美
中央研究所 バイオメトリクス研究所
2013年入社
大学院 物理学及応用物理学専攻卒

長い歴史を持つ研究チームに配属、
しかし・・・。

大学時代、私は音声認識や人工知能、機械学習などに関して幅広く研究しました。就職活動では色々なメーカーの社員の方にお会いしましたが、そのなかでも特に惹かれたのがNECでした。音声認識の分野では日本で最も長い歴史を持っていましたし、どの社員もエンドユーザーへの熱い想いをその胸に抱いていたんです。高度な技術を持つ方々と一緒に研究すれば、私も世界を驚かせるような技術を開発できるかもしれない。そんな夢と希望を抱いて、NECの門を叩くことを決意しました。しかし、その数年後、私が所属していたチームは活動縮小、私自身もテーマシフトを余儀なくされました。世界は「多言語に対応したスマートフォンの音声アシスタント」の登場に沸き立ち、私たちの研究はグローバル企業が仕掛けたダイナミックかつスピード感のある“うねり”に飲み込まれつつありました。入社して数年で、社会の変化に飲み込まれ、研究テーマシフトを余儀なくされる。あの時の衝撃は今でも忘れることはできません。

弱さを認める強さを、
この会社は持っている。

NECの技術は、決して他社に引けを取るようなものではありませんでした。発売当初の「スマートフォンの音声アシスタント」にはそれほど特別な技術は使われていなかったと思います。私たちの敗因はおそらく日本企業の多くが抱える“ビジネスビルディングの弱さ”。当時の私たちは、ターゲットユーザの明確化とサービス全体の設計が不十分だったと感じます。私自身、この衝撃から立ち直るのにしばらく時間がかかりましたが、それでもなおNECに残り続けたのには理由があります。NECには自らの弱さを認め、次に進む強さがあった。失敗できない状態にありながらも、失敗を恐れない勇気を持ち続けたんです。ここでなら次の時代の柱となる、新しい研究に挑戦することができる。言葉に表れない人間の心理状態を把握できれば、さらに人に役立つものが創れる。そう確信できたことが、私の大きな原動力になりました。

MITメディアラボと連携し、
新しい未来をつくりたい。

私たちは、次の研究テーマとして“10年後の中核事業”となるアイデアを模索し続けました。そして、紆余曲折を経てようやくたどり着いたのが、ストレスなどの心の動きを認識する「人間内面理解」のテクノロジー領域。NECは顔認証などとても強い個人認証技術を保持していますが、未来はもっと人の内面まで理解するような、より高位で人間的に深い技術が必要になるのではないか。NECとしてこの新しい研究領域に切り込むため、2017年に最先端を走っていたマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボに駐在し、技術獲得することになりました。現地では感情を科学的に分析する「アフェクティブコンピューティング」という最先端の学問領域を立ち上げた教授とともに、自身のメインテーマである内面理解技術に関する知見を深めていきました。この技術が完成すれば、発汗量の変化などから自身のストレス、気分、健康状態がわかるヘルスケア製品、心拍数や体温の上昇などから商品への興味関心の度合いを測定できる製品などを開発できる可能性が高くなります。世界初の技術で、世界中の人たちに貢献する。それが今の私の大きな目標になっています。

弱点を上回るポテンシャルで、
立ちはだかる壁を越えていく。

駐在経験では多くのものを得ることができましたが、その一方で日本企業の弱点を痛感することも多かったように思います。MITでは多くの研究員がビジネスに精通していますし、経営やマネジメントに関する高度なスキルを持ち合わせている人もいます。正直、NECにおいては同様の研究員は不足していますし、私たちはこれまで以上に “経営目線での研究開発”に力を注いでいかなければなりません。もちろん、弱点を克服していくうえでは、数えきれないほどの壁にぶつかることになるでしょう。しかし、今のNECには「なにをやるのが正解か」がない代わりに「なにをやるのが間違いか」もありません。しっかりと戦略を語ることができれば、NECはどんなチャレンジも力強く後押ししてくれます。NEC史上、今が一番おもしろい。“逆境好き”なだけかもしれませんが、あえて私は今、この言葉を新しい仲間たちに贈りたいと思います。

2013年

音声認識技術を研究

専門知識を活かし、音声認識領域のプロジェクトに参加。大学時代には、ひとつのマイクで録音されたデータから、混在するふたりの音声データを抽出する「音源分離」を研究していました。その経験を活かし、入社後は車内や店舗等のうるさい環境でも音声認識を可能にする雑音抑圧技術の研究開発に取り組みました。

2015年

人間内面理解技術の研究を開始

NECの顔検出技術も活用し、カメラに映った顔の映像から、心拍数を高精度に抽出する研究に着手。映像から取得できる脈波はとても微小な信号ため、人が少しでも動くと心拍数の取得が困難になります。カメラ一つで日常生活下での心拍数を測定するために、動きに頑健な心拍抽出技術を開発しました。勤務中のワーカーの健康状態測定への応用を探っていました。

2017年

マサチューセッツ工科大学に駐在

同大学のメディアラボに所属し、NECの将来のビジネスになり得るテーマを研究。MITの学生とともに技術を開発したり、共同で論文執筆に取り組むこともありました。

2019年

人間内面理解技術で人々が健康に暮らせる社会に

MITでの研究を引き継ぎ、人間内面理解技術の開発に邁進。現在は、人が抱えるストレスを数値化し、ウェアラブルセンサや映像などの情報をもとに翌日以降のストレスを予測する研究をしています。周辺技術の研究も進めて人々の状態をより良い方向へ導くシステムを一日でも早く実用化し、人々が健康に暮らせる社会を実現したいです。

現在

  • Q:現在の仕事内容

    A:ウェアラブルセンサを用いて、リラックスしているか、ストレスを感じているかなど、人の内面状態を検出・推定・予測する人間内面理解技術の研究をしています。

  • Q:仕事のやりがい

    A:やりたい研究をやれること。上司はアイデアを後押ししてくれますし、多彩な領域の研究者の力も借りることができるので“やりたい”を叶えやすい環境が整っており、研究者として大きく成長できます。

  • Q:仕事の成功体験

    A:MITの学生とともに、難関国際学会の「ベスト論文賞」を受賞したこと。自分の技術が国際学会で認められたこと、世界の研究者と信頼関係を築けたことは大きな自信になりました。

  • Q:仕事の難しさ

    A:人の内面という曖昧なものが研究テーマなので、正解をどこに定義するか自体が難しいですし、エビデンスを持ってビジネスに結びつけることもまた難しいと感じています。

9:00

スカイプミーティング

出社後、MIT時代の仲間と情報交換。現在も現地で研究を続けている学生や、修了して他大学の准教授になっている方と最新の研究成果、課題などについて語り合います。

10:00

プログラミング

どう分析して、なにを計測すればいいのか。人間の内面モデルを考案し、人の感情を数値化するためのシミュレーション用プログラムを書いていきます。

12:00

昼休憩

以前、音声認識領域の研究チームで一緒だった旧友とランチへ。各々の現在の研究テーマの将来性や、テーマシフト当時の悔しさや変化し続けることの重要性などについて語り合いました。

13:00

ブレインストーミング

どうやって特許のメリットを最大化するか。特許戦略を決めるため、チームメンバーとブレインストーミング。包括的な特許取得を目指してアイデアを出し合います。

15:00

ミーティング

チームメンバーのプロジェクトの進捗を確認し、一人ひとりが抱えている課題などを確認。内面データの保管方法やセキュリティなどについて意見交換しました。

16:00

実験結果確認

人の感情に関する社内実験の結果を確認。しっかりとデータが取れているかを見定めます。その他、シミュレーション用プログラムや特許の明細書を書いているときもあります。

20:00

退社

研究に没頭しているときはもう少し遅くなるときもたまにあるのですが、なるべく20:00までには仕事を終えるようにしています。

最近はオープンイノベーションを目的とした異業種交流会にも参加するようにしています。法律、文化、技術といった3つのファクターについて有志で議論し、各業界・各業種の現状や課題についても情報交換。現在は勉強会のような立ち位置ですが、将来的には会社の垣根を越えたプロジェクトを立ち上げられたらと考えています。